築地と豊洲、観光で行くならどっちが良いのか迷う方は多いと思います。
私も同じ疑問を持ち、今回、豊洲市場から築地場外市場までを1日で歩いて比較してみました。
豊洲では早朝のセリを見学し、魚がし横丁や千客万来を巡りながら、海鮮丼や食べ歩きを楽しみました。
一方の築地では、狭い路地の活気や店主との距離感、生牡蠣や刺身といった“築地らしい海鮮グルメ”を味わい、さらに波除神社や築地本願寺など、歴史あるスポットにも立ち寄りました。
市場の雰囲気、食べ歩き、街歩きのしやすさは、豊洲と築地で大きく異なります。
この記事では、実際に歩いた順番に沿って、豊洲市場と築地場外市場の違いを比較していきます。
「どっちに行くべきか知りたい」「食べ歩きはどっちが良い?」という方の参考になれば幸いです。
豊洲市場の概要(移転後の“新しい市場”)
2018年に築地市場が移転して誕生した豊洲市場は、「新しい市場」という言葉がそのまま当てはまるほど、建物の構造や衛生管理が徹底された近代的な市場です。
市場は 水産卸売場棟・水産仲卸棟・青果棟 の3つに分かれており、それぞれが見学者向けの通路でつながっているため、初めて訪れる人でも歩きやすい造りになっています。
築地時代のような雑多さはなく、どのエリアも広く、温度管理が行き届いているのが特徴です。
特に 水産卸売場棟 では、早朝に行われる マグロのセリ が有名で、プロの仕事を間近に感じられる貴重な体験ができます。
見学通路から市場の動きを上から眺められるのも、豊洲ならではの魅力です。
また、市場に隣接する 「千客万来」 には飲食店や足湯、食べ歩きが楽しめるエリアがあり、さらに徒歩圏内には 「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」 もあります。
豊洲市場の見学と合わせて訪れる人も多く、“市場のプロの現場”と“観光としての楽しさ”の両方を味わえるのが豊洲の特徴です。
チームラボについては、別の記事で詳しく紹介する予定です。
築地とはまったく異なる雰囲気を持つ豊洲市場。
整然とした空間の中で、静けさと活気が同居する独特の空気を感じられます。
築地場外市場の概要(今も残る“市場の街”)
築地場外市場は、築地市場の移転後も変わらず営業を続けている、“今も残る市場の街” です。
場内が豊洲へ移ったあとも、古くからの専門店や飲食店が軒を連ね、市場らしい活気と人の温度がそのまま残っています。
場外の路地には、鮮魚・乾物・包丁・玉子焼きなど、食にまつわる専門店がぎゅっと集まり、歩くだけで 市場の香りや人の声が混ざり合う独特の空気 を感じられます。
豊洲の整然とした雰囲気とは対照的に、築地は “人との距離が近い市場文化” が今も息づいている場所です。
また、築地場外市場は 食べ歩きの楽しさ も魅力のひとつ。
玉子焼き、生牡蠣、まぐろの刺身、海鮮丼など、その場で味わえるグルメが多く、朝から多くの観光客でにぎわいます。
店主との会話や、路地に漂う香りも含めて、“市場の街を歩く体験そのもの” が築地の魅力になっています。
さらに、場外市場の周辺には 波除神社 や 築地本願寺 など、歴史あるスポットが徒歩圏内にあり、市場だけでなく 街全体の雰囲気を楽しめる のも築地ならでは。
食と文化が自然に混ざり合うこのエリアは、豊洲とはまた違った 深みのある魅力 を持っています。
豊洲市場から築地場外市場までの当日の行程
豊洲市場と築地場外市場をどちらも巡ったこの日は、朝の静けさと市場の活気がゆっくりと切り替わっていく、とても印象的な一日になりました。
二つの市場を歩いて回る場合、サクサク進めば半日ほど、ゆっくり巡るなら半日を少し超えるくらいの時間があると、無理なく楽しめると思います。
ここでは、実際に歩いた当日の行程を、時間の流れに沿って分かりやすくまとめています。
これから訪れる方が、旅のイメージをつかむ参考になれば嬉しいです。

豊洲エリア
東京湾沿いに広がる豊洲エリアは、整った街並みと落ち着いた雰囲気が印象的な場所です。
この日は、そんな豊洲の中でも特に活気ある「豊洲市場」と、新しく整備された「千客万来」を歩きながら、朝の時間を過ごしました。
豊洲市場
豊洲市場は、2018年に築地から移転して開場した新しい市場で、広々とした建物や見学しやすい動線が整えられています。
この日は、市場前駅から市場内を歩きながら、朝の時間帯ならではの雰囲気を感じていきました。
市場前駅に到着
ゆりかもめで市場前駅に到着すると、早朝の時間帯でも市場へ向かう人の気配が感じられました。
改札を抜けると、そのまま市場方面へ向かう歩行デッキへと進む流れができていて、自然と市場へ向かう導線に入っていきます。

歩行デッキは屋根付きで、建物の間をつなぐようにまっすぐ伸びています。
市場へ向かう道を進むにつれて、これから始まる朝のセリに向かう雰囲気が少しずつ高まっていきました。

この日は、まず最初に青果棟へ向かい、朝のセリの様子を見学するところから一日が始まりました。

セリを見学(青果棟)
青果棟に入ると、見学デッキへ向かう通路の途中から、セリ前後の仕分け・荷さばきの様子を見下ろすことができます。
通路の壁面には「えんどう」のように品目名が表示されていて、どの青果の取り扱いが行われているのかが一目で分かるようになっていました。
箱が次々と運ばれ、担当者が手際よく作業を進める様子を眺めていると、市場の朝が本格的に動き始めていることを実感します。


通路を進んだ先にある見学デッキは、ガラス越しにセリ場を見下ろせる造りになっています。
足を踏み入れると、スピーカーからセリ人の声が響き、数字の読み上げや手の合図が重なり合う独特のリズムが、静かな朝の空気に少しずつ熱を帯びさせていくようでした。
場内では、青果が次々と落札されていく流れが途切れなく続き、目の前で市場の一日が動き出していくのを感じます。


デッキには係員が常駐していて、セリの進行方法や青果の扱いについて分かりやすく解説してくれるため、初めて訪れる人でも理解しやすい雰囲気です。
見学スペースは適度な人の入りで、混雑しすぎることもなく、自分のペースでセリの様子を眺められるのも良い点でした。

魚がし横丁(水産仲卸棟)
水産仲卸棟に入ると、まずは上階の通路から作業エリアを見下ろすことができます。
見える範囲は限られているものの、箱が並び、担当者が手際よく動く様子から、市場の朝の活気をほんの少し感じ取れる場所です。

通路には、魚の種類や漁場、流通の仕組みを紹介する解説パネルが数多く設置されていて、水産に関する知識を自然と深められるようになっています。
仲卸棟全体を歩いているだけでも、普段は意識しない“魚が届くまでの背景”に触れられるのが印象的でした。



仲卸棟のメインとなるのは、やはり「魚がし横丁」の散策です。
通路沿いには、海鮮を扱う専門店や調理道具の店、老舗のお茶屋さんなどが並び、市場ならではの品揃えや雰囲気を楽しめるエリアになっています。
作業見学が中心というよりは、店舗を巡りながら市場文化に触れることが、この棟の魅力だと感じました。


さらに、4階へ上がると、レインボーブリッジと、天気が良ければ遠くに富士山まで望める絶景スポットがあります。
市場の喧騒から少し離れ、東京湾の景色をゆっくり眺められる、思わぬ穴場のような場所でした。

マグロセリのフロア(水産卸売場棟)
水産卸売場棟では、マグロのセリが行われるフロアを見学することができます。
訪れた時間帯はすでにセリが終わっていましたが、フロアを見学しつつ、展示を通してセリの流れを理解することができました。
広い空間に整然と並ぶ箱や設備を眺めていると、ここで毎朝大きな取引が行われていることが自然と伝わってきます。


通路には、マグロのセリの仕組みを紹介する解説パネルや動画が設置されていて、「手やり」と呼ばれる独特の指サインの意味や、セリの進行方法を分かりやすく学べるようになっています。
パネルを読み進めると、買い手が指の形で数字を示しながら値段を伝える様子や、セリがどのように進むのかが具体的にイメージできました。


さらに、展示スペースには、築地市場時代に取引された最大級サイズのマグロを再現した模型が置かれていて、その迫力に思わず足が止まります。
写真で見るよりも実物の存在感が強く、市場で扱われるマグロのスケールを実感できる印象的な展示でした。

セリの時間帯ではない訪問でも、フロアの雰囲気と展示の組み合わせで、マグロの取引がどのように行われているのかをしっかり理解できるエリアになっています。
海鮮丼で朝食
マグロセリのフロアを見学したあとは、朝食に海鮮丼をいただくことにしました。
仲卸棟の一角には、海鮮丼や寿司を提供する店がいくつも並んでいて、どの店も写真付きのメニューが掲げられており、外からでも雰囲気が分かりやすいつくりになっています。

この日は、店頭に並ぶ海鮮丼の写真に惹かれて、仲家へ入りました。
店内は落ち着いた雰囲気で、市場の朝らしい活気を感じつつも、ゆっくり食事ができる空間です。

注文した海鮮丼は、まぐろやウニ、いくらなどが彩りよく盛られた一杯。
ひと口食べると、それぞれの素材がしっかりとした味わいで、朝の時間帯でも重たさを感じずに楽しめる内容でした。
味噌汁や小鉢も付いていて、朝食としてちょうど良い満足感があります。

市場を歩いたあとにいただく海鮮丼は、やはり格別で、豊洲に来たことを実感できるひとときになりました。
千客万来
豊洲市場をひととおり巡ったあとは、2024年2月にオープンした「千客万来」へ向かいました。
豊洲市場に隣接して誕生した新しい複合施設で、食べ歩きや買い物、足湯、展望スペースなど、散策をゆったり楽しめるエリアがひとつにまとまっている場所です。
「千客万来」は、市場のにぎわいを一般の人にも身近に感じてもらうことを目的に作られ、飲食店や物販エリアに加えて、温浴施設や足湯、豊洲の景色を眺められるスポットも備えています。
市場の“プロの現場”を見学したあとに、少し肩の力を抜いて過ごせる時間が流れるのが印象的でした。
ここからは、千客万来で巡った場所を順に紹介していきます。
足湯でひと休み
千客万来の8階には、自由に利用できる足湯スペースがあります。
木のデッキと緑に囲まれたテラスは、施設のにぎわいから少し離れた、静かに息をつける場所でした。
足湯自体は無料で利用でき、タオルを持っていない場合は200円でレンタルすることもできます。


足湯に浸かりながら目の前に広がるのは、東京湾と高層ビル群が重なる開放的な景色。
水面のきらめきと、遠くまで続く空の広がりが心地よく、歩き回った足がじんわりと温まっていくのを感じます。

市場を巡ったあとのひと休みにぴったりの場所で、思いがけず豊洲らしい景色をゆっくり楽しむことができますよ。
豊洲名物の食べ歩き
千客万来には多くの飲食店が並んでいますが、その中でも特に印象に残った3つの食べ歩きを紹介します。
どれも気軽に楽しめるのに、それぞれ個性があって、豊洲らしい“食の楽しさ”を感じられる味でした。
丸武 PREMIUM の焼きたて玉子焼き
行列ができていた丸武では、焼きたての玉子焼きをいただきました。
ひと口食べると、しっかりと出汁が効いていて、ふわふわの食感とほのかな甘さが広がるやさしい味わい。
焼きたてならではの温かさも相まって、思わずもうひとつ食べたくなる一品でした。


金ぷらの鯖サンド
続いては、金ぷらの鯖サンド。
こんがり焼かれた鯖は塩加減がちょうどよく、身がしっかりしていて食べ応えも十分。
レタスと一緒にサンドされているので重たくならず、ひとつで満足できるボリュームです。
鯖を“サンドイッチ”として食べる珍しさもあり、豊洲らしい海の香りを感じられる一品でした。


ハルニレの濃厚ソフトクリーム
最後は、ハルニレのソフトクリーム。
ミルクの味がとても濃厚で、口に入れた瞬間に広がるコクが印象的でした。
カップとコーンが選べますが、個人的には香ばしさが加わるコーンがおすすめ。
食べ歩きの締めにぴったりの、やさしい甘さのソフトクリームでした。


築地エリア
豊洲市場を巡ったあとは、築地へ向かいました。
かつて市場があった場所の周辺には、今も多くの店が並ぶ「築地場外市場」が残っていて、歩くだけで活気を感じられる独特の雰囲気があります。
豊洲の整った施設とはまた違う、昔ながらの市場の空気がゆっくりと広がる街でした。
築地場外市場
築地場外市場は、かつて市場があった築地の街に今も残る商店街で、専門店が軒を連ねるにぎやかなエリアです。
この日は、通りを歩きながら、昔ながらの市場らしい活気や香りが混ざり合う独特の雰囲気を感じていきました。
市場の活気あふれる路地
築地場外市場を歩き始めると、すぐに街の空気が変わりました。
細い路地に専門店がぎゅっと並び、店先から漂う香りや人の声が混ざり合って、良い意味で雑多で、アジアらしいローカル感が広がっています。



歩いていると、マグロの専門店の前でちょうどマグロ解体の実演が始まり、多くの人が足を止めていました。
職人の包丁さばきをこんなに近くで見られるのは、築地ならではの体験。
観光地として整った豊洲とはまた違う、“市場の街”としての生きた迫力を感じました。

通りを進むたびに、海鮮、乾物、玉子焼き、惣菜など、さまざまな店が次々と現れ、歩くだけで市場の熱気に包まれていきます。
この雑多さこそが築地の魅力で、訪れるたびに新しい発見があるような、そんな活気に満ちた路地でした。
築地名物の食べ歩き
築地場外市場には数えきれないほどの店が並んでいますが、その中でも特に印象に残った3つの味を紹介します。
どれも“築地らしさ”を感じられる食べ歩きでした。
山長の玉子焼き(串玉)
行列が絶えない人気店・山長では、目の前で玉子焼きが焼き上がっていく様子を間近で見られる臨場感があります。
鉄板の上でふくらんでいく卵の香りに誘われながら、焼きたての串玉をいただきました。
串に刺さっているので食べ歩きしやすく、味は豊洲よりもやや甘さ控えめで、出汁の風味がしっかり感じられる上品な仕上がり。
ふわっとした食感と温かさが心地よく、行列ができる理由がよく分かる一品でした。



成東水産の大ぶり生牡蠣
成東水産では、氷の上に並んだ牡蠣がどれも立派で、迷わず一番大きそうなものを選びました。
築地といえば海鮮の食べ歩きが有名ですが、その中でも牡蠣は特に人気のある名物のひとつ。
手に持つとずっしりとした重みがあり、ひと口では収まらないほどのサイズでした。
口に入れると、濃厚な旨みと海の香りが広がり、しっかりとした食べ応えがあります。
築地らしい豪快さを感じられる一品でした。



斎藤水産のクジラ刺身
斎藤水産では、築地ならではのクジラ刺身をいただきました。
普段なかなか口にする機会がない食材ということもあり、店先で見かけるとつい足が止まります。
食べてみると、馬刺しを肉厚にしたような、しっとりとした食感と深いコクがあり、見た目以上に食べやすい味わい。
醤油と生姜がよく合い、クセもほとんど感じませんでした。
築地の雑多な路地の中で、こうした少し珍しい食材に出会えるのも、この街ならではの楽しさだと感じました。



波除神社
築地場外市場を歩いていると、にぎわいの中にふっと静けさが生まれる場所があります。
市場のすぐそばに佇む波除神社は、「災いを除き、波を鎮める」とされ、築地の街と市場を長く見守ってきた神社です。

境内に進むと、立派な拝殿が迎えてくれます。
市場の喧騒から一歩離れたような、落ち着いた空気が流れていて、旅の途中でそっと気持ちを整えられる場所でした。

波除神社といえば、境内に並ぶ巨大な獅子頭が印象的です。
赤と金の獅子、黒と金の獅子がそれぞれ祀られていて、どちらも迫力がありながら、どこか温かみのある表情をしています。
市場の安全や繁栄を願う象徴として、築地の人々に長く親しまれてきた存在です。


境内の一角には、しめ縄が掛けられた石碑もあり、木漏れ日の中で静かに佇んでいました。
市場のにぎわいと、神社の穏やかさが隣り合うこの場所は、築地らしい“街のリズム”を感じられるスポットでした。

築地本願寺
築地市場の通りを抜けて晴海通り側へ出ると、すぐ目の前に独特な姿の建物が現れます。
石造りの重厚な外観と大きなドームは、築地の街並みの中でもひときわ目を引く存在です。

この建物は、関東大震災で焼失した本堂を再建する際、建築家・伊東忠太が仏教の源流を建築で表現するという考えから、インド様式を取り入れて設計したもの。
そのため、日本の寺院では珍しい雰囲気をまとっています。
本堂内部は一般の参拝者も自由に入れるようになっていて、外観とはまた違う静かな荘厳さが広がっています。
高い天井や金色の本堂が落ち着いた空気をつくり出し、市場のにぎわいから少し離れて気持ちを整えられる場所でした。

豊洲と築地、それぞれの良さと向いている人
豊洲市場と築地場外市場は、同じ“市場”でも楽しめる体験が大きく異なります。
実際に歩いてみて感じた、それぞれの良さと向いているタイプをまとめました。
豊洲市場は、近代的な市場施設やセリの見学を楽しみたい人に向いています。
建物が新しく、見学ルートが整っているため、市場の仕組みを落ち着いて見て回ることができます。
食事は海鮮丼や寿司などの店舗が多い一方で、店外で食べられる軽いメニューもあり、歩きながら楽しむこともできます。
一方で、築地場外市場は、雑多でローカルな雰囲気を味わいたい人にぴったりです。
路地に小さな店が並び、呼び込みの声や店先の活気がそのまま市場の空気をつくっています。
刺身を一皿単位で注文できるように、少量から試せるメニューが多く、気になったものを少しずつ味わいながら歩けるのが魅力でした。
どちらも違った良さがあるので、「施設としての市場を見たいなら豊洲」「街としての市場を歩きたいなら築地」という選び方がしっくりくると思います。
この記事で紹介する内容は以上です。
歩きながら感じた違いを重ねていくと、豊洲と築地は同じ“市場”でもまったく別の表情を持っていることに気づきます。
どちらも旅の時間を豊かにしてくれる場所なので、今後市場を訪れる際のヒントとして、ご自身に合った過ごし方を選んでみてください。

